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ギリシア人の物語I 民主政のはじまり  8

塩野氏によるギリシア物語。

ローマ人の物語は非常に長かったですが、ギリシアは短距離走とのこと。
しかも、本書は1巻。

追いつけない、と嘆くこともなく、マイペースで読み進めることができます。

やはり強敵と戦ったペルシア戦役の話は盛り上がる!

ギリシア人の物語I 民主政のはじまり
ギリシア人の物語I 民主政のはじまり塩野 七生

新潮社 2015-12-18
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ギリシア人は短距離走者であり、ローマ人は長距離走者であったのだ。

古代のギリシアには、ギリシアという国は存在しなかった。ギリシア人はいたが、ギリシアはなかったのだ。小規模のものまで加えれば五百を超える都市国家に分れていたので、アテネ人、スパルタ人はいても、ギリシア人はいなかった。
それでいて、オリンピックに参加する資格は、ギリシア人であること、と決まっていた。この場合に「ギリシア人」とされるのは、一、ギリシア語を話す人々であること。
二、ギリシアの神々を信仰する人々であること、であった。

二十歳に達するや、弓矢と剣と槍と盾を持つだけの半裸体で、山野に放り出される。たった一人で七日の間、生き抜いていかねばならない

七日間が過ぎて寄宿舎にもどる若者には、不意を襲って殺したヘロットの首を持ち帰ることが義務づけられていた。これらすべてのことをやりつくして初めて、スパルタの男は成年に達したと認められるのである。

リクルゴスは、民衆操作でも優れた能力を示す。彼の「憲法」も、人間である彼が考え出したのではなく、たびたび神託を求めてデルフォイに出向き、そこで受けた神託に沿って作り上げた、という風評を広めたのだ。

この半世紀余り、西洋史上のルネサンス、中世、古代ローマと書いてきてつくづく思うのは、時代を画すほどの本格的な改革を成し遂げる人は、既成階級からしか出ないのではないか、という想いである。
既成階級に属す者が皆、自分たちが享受してきた既得権を以後も堅持することしか考えない、単なる保守主義者とはかぎらない。この階級に属す者の中には時に、自分たちの属す階級のどうしようもない欠陥を直視できる人が出てくる。

時代を画するほどの文化文明は、異分子との接触による刺激がないところには生れない。
指揮系統の一本化が効力を発揮するのは、参加する者の全員が、どう行動すればよいかを明快に理解することにある。マラトンでは、「ストラテゴス」たちがまず先に、そして兵士たちも、ミリティアデスの戦術を自分のものにしたのだった。

一つのことだけは、全員がすぐに同意した。ペルシア軍がギリシア内にいる間は、ギリシアの都市国家問の争いは凍結とすること。

陸上での迎撃は不可能、と、テミストクレスは見たのである。それで、アテネ市内に住む人の全員を他の地に移し、市内は空っぽにし、そこに無血で入ってきたペルシア軍との勝負は海上で決する、と決めたのだ。

ペルシア王によるギリシア侵攻は、ケンカばかりしてきたギリシアの都市国家を団結させた、という効用はあったのは確かであった。

ペルシア戦役を通じて、偵察兵を出したり羊飼いに変装した密偵を敵陣に近づかせたりして、情報の収集に熱心であったのは、常にギリシア側で、それもとくに アテネ側だったことである。ペルシア側にもそのような動きがあったことを、記録している史料はない。「量で圧倒する」やり方に自信を持っていたペルシア人 にとっては、敵状を探る努力などは不要、と思われていたのかもしれなかった。

凡将は、先例に基づいての想定内で戦略なり戦術を立てる。
反対に名将は、先例には縛られずにあらゆる事態を考盧し、つまり想定外まで考慮し、そのうえさらに、自軍の兵士の有利と不利だけでなく、敵の有利と不利まで考えに入れて、戦略・戦術を立てるのだ。

それまでの彼を律してきた、自己制御は崩れ落ちた。息子の愛妻に手を出し、それを王妃に知られ、怒り狂った王妃がその女人の四肢を切断させるという蛮行に 走り、王家はメチャクチャになる。と言って当のクセルクセスにはそれを解決する意志もなく、さらなる無思盧な振舞いに走るばかり。

サラミス以後にテミストクレスが戦場に出なくなったのは、彼に、自己制御の能力があったからだと思う。
そして、「自己制御」は、「持続する意志」と表裏の関係を成す、人間にしかない能力でもあるのだった。

当時は三十五歳であったテミストクレスは、この事件で学んだのだと思う。
民衆とは、期待が大きければ大きいほど、そのとおりにならなかった場合の失望も大きくなる生き物であることを。
また、過大な期待を抱いた自分たち自身を反省するのではなく、味わった失望の大きさをより強く感じ、その失望をもたらした当の人を憎む性質があることも学んだにちがいない。


人間とは、何もスパルタ人にかぎらなくても、既成事実のない段階で正論を聴かされても、必ずどこか文句をつける箇所を見つけるものである。
それが、既成事実を前にして正論を説かれると、本心からは納得しなくても、まあそれで良しとしようという、対応も穏やかに変わる場合が多い。


大国ペルシアの脅威からわが身を守るには、集団防衛しか道はないことを、ギリシア人は肝に銘じて理解したこと。隣国同士は仲が悪くても、危機意識ならば共有していたのである。

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